成瀬映画に登場する風景

『歌行燈』(1943年)B NEW 2020.7.17

映画の後半、舞台となるのは三重県の桑名。
喜多八(花柳章太郎)、お袖(山田五十鈴)の両方と面識のある次郎蔵(柳永二郎)は
腕のいい料理人として桑名で働いている。道で偶然お袖と会う次郎蔵。

お袖は次郎蔵の姉が経営する山田の「春木屋」から出て、今は桑名の「しまや」で芸者をしている。
喜多八のことを話題にする二人。

この後、喜多八も桑名にやって来る。
また父親の源三郎(大矢市次郎)と叔父の雪燮(伊志井寛)は二年ぶりの名古屋公演の前日に桑名の旅館に泊っている。

引き寄せられるように主要な人物全員が桑名へ集結する。

画面写真は桑名(明治末年の設定)の実際のロケーションか。
撮影時の昭和17年〜18年くらいだとこんな街並みがあっても不思議はない。
管理者は桑名へは行ったことがないので、これが桑名でのロケーションであっても撮影場所はわからない。

山田五十鈴と柳永二郎が会話をする人物の振り返りのショットは
戦後の成瀬映画にも続く屋外シーンの「成瀬リズム」である。
一番下の画面写真。斜め前から建物と道を映す構図が美しい。典型的な成瀬調の構図だ。

本作はユーチューブ(英語版字幕付)で視聴可能だ。

     


写真ページへ戻る


トップページへ戻る